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着物で歌舞伎をたのしもう!【歌舞伎ってどこでやっているの?】大人の女性のための着物着こなし術(番外編)


歌舞伎ってどこでやっているの?

着物で歌舞伎を楽しもう!第二回では歌舞伎の楽しみ方について書かせていただきました。第三回では歌舞伎を行う劇場に焦点を当てて、歌舞伎初心者の方にお伝えできたらと思います。

歌舞伎が上演されている劇場

歌舞伎といえば一番最初に浮かぶ劇場はやはり歌舞伎座です。明治22年に開場以来、何度も火事や空襲で焼失し現在の歌舞伎座は平成25年に隈研吾氏の設計により生まれ変わった第5期目の歌舞伎座になります。
実のところ、私自身も歌舞伎座はまだ一度も行ったことがありません。呉服屋の店主でなかなかお店を空けられないという事情もございますが、年内には歌舞伎座で歌舞伎を見に行く予定ですで、その様子もまたお伝えできるかと思います。
その他、東京中央区にある新橋演舞場、名古屋の御園座、京都四条南座、大阪松竹座、博多座と各都市に歌舞伎が上演される劇場は存在します。しかしながら、歌舞伎座と違ってこれらの劇場も毎月歌舞伎が上演されているわけではなく、歌舞伎以外の演劇が上演されていることも多く、歌舞伎の上演は年に3、4回という劇場がほとんどです。ですから、私たち地方在住の人にとっては、上演のタイミングをきっちりと把握しておくということが非常に重要になります。

リニューアルオープンした御園座

愛知県在住の方であれば、まず足を運ぶべきなのが御園座です。ニュース等でもご存知の通り、今年の4月よりリニューアルオープンした新生御園座。歌舞伎座同様、隈研吾氏がデザインを監修しています。
私自身も先日のこけら落とし公演を見に行って参りました。私が観劇した昼の部の演目は、「寿曽我の対面」と「口上」そして「籠釣瓶花街酔醒」。最初の演目の「寿曽我の対面」は曽我兄弟が親の仇である工藤左衛門祐経への仇討ちの話で新春などのおめでたい時の上演されることが多い演目です。昨年夏に名古屋城で行われた平成中村座の公演でも見てはいたのですが、今回は曽我兄弟を招き入れる小林朝比奈が小林妹舞鶴にかわっていたりと、同じ演目を何度見ても色々な発見があり楽しめるというのは、前回の歌舞伎の楽しみ方でも綴ったばかりです。


肝心の劇場の内部の様子ですが、御園座に来てみて印象的だったのはエントランスから目に飛び込んでくる朱がかった赤の御園座レッドといわれる色の壁。それがロビーや客席にまで統一されており、和の劇場というよりはスタイリッシュで都会的な空間に仕上がっていました。


しかしながら、よく見ると旧劇場から引き継いだ亀甲文様や市松文様があしらわれていたり、御園座レッドで統一された空間は、まるで神社などで感じるような神聖で平安な日本的な色合いが、不思議と落ち着きのある空間になっており、伝統と革新の見事な融合がなされています。外国からのお客様をお招きすると日本的と感じて喜んでいただけることでしょう。


座席についてみると、広々とした座席同士の間隔の広さを感じました。旧御園座に比べて、1656席から1299席(花道設置時は1219席)約4分の1の400席ほど減っているとのこと。一人当たりの空間をしっかりとられており、着物で観劇がしやすい快適さが保たれておりました。

また、これは気候の良い4月という季節柄だったからかもしれませんが、座席の下に空調が設けられているようで、観劇中に少し暑いなとか寒いなと感じることもなく快適に過ごすことができました。
今回私が座った席は1階席だったので、幕間に2階、3階をのぞいてみました。

階席へ向かう階段もお着物を着られている方も多く訪れることを考慮されているのか、それ程1段
が高くなく着物を着ていてもストレスを感じることはありませんでした。
東海地方の歌舞伎好きの方には本当に望まれてオープンした御園座ですが、先程も少し書いたように御園座での歌舞伎の公演も歌舞伎座と違い毎月上演されているわけではありませんので、上演の時期を逃さないようにしなければなりませんね。

毎月、歌舞伎を楽しみたいという方へ

関東圏以外の方にとっては、毎月歌舞伎を見るということはなかなかハードルが高いもの。そんな方にお勧めしたいのが、常設の劇場以外で行われる巡業・シネマ歌舞伎・地歌舞伎です。

巡業公演

松竹大歌舞伎の巡業公演が各都市の市民会館や文化会館など施設で行われています。平成30年の東海地方での巡業公演は、下記の通り。

  • 平成30年7月15日(日)愛知県豊橋市 穂の国とよはし芸術劇場PLAT
  • 平成30年7月16日(月)愛知県春日井市 春日井市民会館
  • 平成30年7月18日(水)愛知県知立市 パティオ池鯉鮒(知立市文化会館)
  • 平成30年7月18日(水)岐阜県高山市 高山市民文化会館
  • 平成30年7月19日(木)岐阜県関市 関市文化会館
  • 平成30年7月27日(金)愛知県半田市 半田市福祉文化会館

皆さんのお住いの街でも意外と公演は行われていますので、ぜひ足を運んでみてください

シネマ歌舞伎

シネマ歌舞伎とは、読んで字のごとくですが、映画館で見ることのできる歌舞伎のことです。実際の劇場の臨場感はもちろんありませんが、多彩なカメラワークが織りなす映像美と見どころのわかりやすさが、初心者の方にはとっつきやすいと思います。
またもう一つの大きな特徴としては、今は亡き名優の演技も味わうことができるところ。
劇場にどうしても行けないという時には、ぜひシネマ歌舞伎もお勧めです。
各劇場の公演や巡業情報、シネマ歌舞伎の上演情報は下記のサイトで確認することができます。
歌舞伎の公式サイト歌舞伎美人(かぶきびと)

地歌舞伎

金丸座、熊本八千代座、出石永楽館、愛媛内子座や中津川かしも明治座をはじめとして岐阜には多くの昔情緒の芝居小屋が存在します。こういった芝居小屋で行われている歌舞伎を地歌舞伎と呼びます。

江戸時代に始まった歌舞伎は、流行の最先端を行く奇抜な衣装や髪型、錦絵
のような美しい舞台で人々を熱狂させました。そして、江戸や大阪から公演に来るプロの
役者(旅役者)に憧れた地方の人々は、旅役者に芝居を習い、やがて自分たちで芝居小屋
や神社の祭礼時に演じ、楽しむようになりました。土地の素人が演じる地芝居をこの地方
の人々は地歌舞伎と呼び、江戸時代から伝えられてきた物語や振付、衣裳を大切に受け継
いでいます。
参照元(地歌舞伎 江戸の庶民の粋を楽しむ 岐阜の旅 https://www.jikabuki.net/)

上記サイトによると岐阜県はこの地歌舞伎が日本一盛んな土地だとのことで、神奈川県、
兵庫県とならび「日本三大地歌舞伎」のひとつとされています。そんな各地に残る古い芝
居小屋などで、1年に1度または数年に1度の公演ですが、街中がお祭りムードになり、
地歌舞伎が行われます。
なによりも真新しいきれいな劇場ではなく江戸時代や明治、大正、昭和と当時の人々が楽
しんだであろうスタイルで観劇することができることが大きな魅力です。旅行がてら行っ
てみるのもいいかもしれませんね。

まとめ

いかがだったでしょうか?意外と縁遠いと思っていた歌舞伎も他の芸能に比べれば少ない
かもしれませんが、これだけの楽しみ方があるということをおわかりいただけたでしょう
か?
こちらのブログを読まれた愛知県の方には、まずはぜひ御園座が上演中に足を運んでみる
ことをおすすめします。そして、御園座の雰囲気はあなたのお着物をより引き立たせてく
れることは間違いないでしょう。
着付や着物での観劇に関して不安なことなどございましたら、お気軽にご相談ください。

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